平成30年度一級建築士設計製図試験「健康づくりの為のスポーツ施設」作図問題の解説

 このページでは平成30年度一級建築士設計製図試験「健康づくりの為のスポーツ施設」作図問題について各項目に分けて解説していきます
 
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主文

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  要求建築物は廃校となった小学校において、老朽化し解体された屋外プール跡地に温水プールがあるスポーツ施設を計画するものとする。なお旧校舎はカルチャーセンターに、旧体育館は全天候型スポーツ施設に、旧校庭はグラウンドとして再利用する。
 本建築物は地域住民が各種スポーツを楽しみながら健康増進を図り、世代間交流ができる施設とする。またパッシブデザインを積極的に取り入れたデザインとする。なお本建築物は、旧小学校を活用・再生を図る為に、隣地のカルチャーセンター、全天候型スポーツ施設及びグラウンドと一体的に使用するものとする。

敷地・建築物及び周辺条件

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 建築物計画敷地は全体の敷地の南東に配置されています。要求条件には記載されていませんが、解体前の小学校への旧正門と桜並木が南西側に設定されており、「周辺施設と一体的に利用」とあることから旧正門・桜並木からメインアプローチを計画することが王道となります。しかしながら、敷地の北側に施設全体の利用者用駐車場があることから北側からのアプローチも考えらえれます。「周辺施設と一体的に利用」の条件は主文・留意事項・要点記述の問題にも取り上げられていることから本課題の中でとても重要な条件と伺えます。  
 建蔽率:70% 容積率:200%
 地盤は基礎フーチング撤去済かつ良好な土で埋め戻しを行っている。
 構造種別:自由 階数:3階建て  床面積合計:2300~2800㎡

要求室

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 本課題での要求室の大きな特徴は約450㎡の大空間である温水プール室となっております。温水プール室の条件に「自然採光を十分に確保」とあることから、外壁に開口部を大きく設置するだけでなく、奥の方まで自然採光を行き渡らせる為には、トップライトの設置の必要性が伺えます。またプールを外から見学できる見学コーナーは温水プール室と同階に設置するのか、上階から見下ろすのか2つの選択肢がでてきます。温水プール室用の更衣室Aは温水プール室と隣接させて設置するのが王道ですが、温水プール室と更衣室A(ウェット(水着)ゾーン)をまとめると、とても大きなボリュームとなることから1フロアにまとめて計画することは容易ではないでしょう。プール施設でたまに見られる1階の更衣室で水着に着替えて2階のプールへ階段で行くという計画も考えられます。次にドライ(上足)ゾーンでは多目的スポーツ室が施設で2番目に大きな要求室となっており、天井高5m以上指定であることから2層(2階分に渡る)計画が王道と言えます。室の辺長比1.5以上と無柱空間指定であることから上部にPC梁の使用が考えられます。ドライ(上足)ゾーンでは多目的スポーツ室以外の要求室でトレーニングルーム、ダンススタジオ、キッズ用プレイルームと更衣室Bがあります。通常の動線の流れとして、更衣室Bでトレーニングウェアに着替えてから各スポーツ系諸室に行くわけですが、その利用者動線への配慮が計画がポイントとなってきます。健康サポート系要求室として健康相談室とコンセプトルーム、インストラクター控室、器具庫が有りますが、これらは健康増進部門とグルーピングすべきか共用部門内に設置すべきかの判断が必要になってきます。コンセプトルームは前年の平成29年リゾートホテルの時も出題された要求室で、受験者自身に使用用途を考えさせる室となっております。コンセプトルームは今のところ平成29・30年しか出題されてませんが、今後また復活するかもしれませんので覚えておいて損はないでしょう。共用部門のエントランスホールでは1階から3階までの吹抜けが指定されてますが、特に大きさや自然採光確保は指定されていません。カフェは西側桜並木又は南側公園の景観に配慮及び屋外テラスとの「動線に配慮」と指定されているので、廊下・EV等で動線が確保されていれば屋外テラスに隣接せず、2階設置でも良いと読み取れます。またカフェには厨房の設置が指定されていますが、他年度の試験では厨房はレストランに設置されるもので、レストランの厨房は道路への搬入に配慮する必要がありました。過去の標準解答例を見てもレストランの厨房は全て道路への搬入に配慮されています。カフェは以前では平成24年の地域図書館で出題されてますが、その時は調理場は厨房ではなく調理コーナーとなっており、標準解答例②では調理コーナーは道路への搬入に配慮されていませんでした。ですので今回のカフェに設置する厨房が道路への搬入に配慮する必要があるのかどうかはここでは分かりかねます。管理者ゾーンと設備スペースは基本利用者動線と分けて配置することが望ましいですが、全てを利用者動線と分けることは簡単ではありません。事務所は受付カウンターがあることから利用者の入退管理も担っているので、利用者用出入り口を見渡せる位置に配置する必要があります。電気設備スペースは40㎡とされてますが屋上設置指定なので床面積には算入されません。屋上設置とあるので、2階の屋根に設置なのか3階の屋根に設置なのかはここでは書かれてないので注意が必要です。(要求図面の欄ででてくるので要注意)

屋外施設

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本課題では駐車場は北側の駐車場を利用するものとして、計画敷地内に駐車場を計画する必要はありません。また東側道路を介することなく、駐車場から直に敷地内にアプローチしても良い条件となっていることから北側駐車場からの利用者アプローチは十分に考えられます。
 屋外テラスは地上に40㎡以上とされており、西側桜並木又は南側公園の景観に配慮及びカフェとの動線に配慮となっております。屋外テラスとカフェとの繋がりは計画の大きなポイントとなります。

留意事項

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 留意事項は当年度課題ならではの条件として「周辺施設と一体的に使用できるよう適切に計画する。」と「各種運動により生じる振動及び騒音に配慮。」、「地盤条件や経済性を踏まえ、建築物全体の基礎構造を適切に計画」が挙げられます。「振動及び騒音」と「地盤条件や経済性を踏まえた基礎構造」の事項は要点記述の問題で出てきます。周辺施設一体利用の事項は主文でも記載されていることから試験製作者が強調したいという意図が伺えます。 

特記事項

 当年度の本試験から特記事項に「建築物の外壁の開口部で延焼のおそれのある部分の位置及び防火設備、防火区画に用いる防火設備の位置及び種別(防火設備等の凡例を参照)」が追加されました。別枠に凡例を大きく表示される上に、建築技術普及センターからの課題発表時にも「防火区画に用いる防火設備の位置を記載」とあったことから試験製作者が強調したいという意図が伝わってきます。また3階平面図の特記事項に「屋上の電気設備スペースの位置(点線で表示)」とあります。ここで初めて電気設備スペースが3階の屋根に設置するという条件が発覚します。特記事項は結構読み飛ばしがちですが、ここで初めて出てくる条件が記載されていることもありますので要注意です。断面図はプールを含んだ切り口とされてますが、、「1~3階の立体構成が分かるように」とあることから、プールが2層で計画した場合にプールの部分だけ切って1層目と2層目の立体構成が分からない断面図にならないように注意です。

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