筆者からこれから受験される皆様へのアドバイス

一級建築士設計製図試験 合格者のアドバイス

このページではこれから一級建築士製図試験を受験される皆様へ、筆者からの受験勉強及び本試験時の心構えのアドバイスを送りたいと思います。

再受験組と学科合格組の違い

 トップページで説明した学科合格組と再受験組とでは何が大きく違うのか? 具体的には学科合格組は全てが初めて学ぶことばかりで覚えることに必死ですが、残り2回まで落ちても 二次試験から開始できるので余裕があります。
 再試験組は予備知識が備わっている分学科合格組と比べて勉強時間に余裕がありますが、あと2~1回 落ちてしまうと、また学科試験からやり直しというプレッシャーがあります。
 そもそも何で勉強してきた時間が大きく違うのに合格率に大差が無いのか。その大きな理由のとして、本試験では これまでどの過去問にもない条件が出されるからです。
 これが受験者の心を大きく揺さぶります。特に猛勉強した受験生程、貯めてきた知識を生かす為「あの方法がいいかこの方法がいいか」と悩んでしまいパニックになる傾向があります。
 逆に勉強量に自信が無い方は「落ちて当たり前」と腹をくくっているので、思いつく対策1つのみで勝負をかけられるので集中できる傾向があるということです。


この試験の勝利は本番にいかに心を乱さずに実力を発揮できるかにかかっています。
この心の揺さぶりに打ち勝つことが合格に繋がります。

本試験での割り切りの決断力

私もそうでしたが、本試験では確実に合格したい為に完璧な計画にしたいという願望が大きくてしま います。
 しかしこの試験は制限時間内では完璧な計画はできないように設定されています。
その為、いくつかの条件を犠牲にする決断力が求められます。そこで犠牲にする条件が試験管の添削する際に重要度が高いか低いかによって合格へのハードルが大きく変わってきます。
 例えば条件に「レストランを東側の公園からアプローチさせる」があるとして、ただその条件を満たすとなると「レストランを南側(日当たりが良い)に配置する」(条件ではない)が満たせなくなるとします。となると課題条件にある 「レストランを東側の公園からアプローチさせる」の方が優先となります。 「レストランを南側に配置する」 は望ましい条件ですが、決して課題条件ではないので無理に満たす必要はないのです。
このように守るべき条件は守りつつ、犠牲にしても不合格にならない条件は切る捨てる決断が本番には必要になります。
 この試験はどの条件を優先させて、どの条件を切り捨てるのか判断力が問われる試験でもあります。

目標の設定

 この試験は6時間半という短い時間の中で課題文を読み込んで、プランニングをして要点記述・作図を関係させる必要があります。決まった答えが無い試験なので、いくら事前に勉強しても本番当時に知識を活かせず落ちてしまう方が多いです。しかも試験製作者は毎年今までに出題されなかった要素を課題に盛り込んでくるので受験者はそれに心を揺さぶられてしまいます。とても制限時間内に完璧な解答を作り出すことはほぼ不可能でしょう。
 そこで事前にどのような要素を切り捨てて、どの要素を優先すべきかの考え方を過去問や他の受験生の図面をしっかり研究して条件の優先順位を立てる思考を養ってください。
 そしてユーザープランニングを見ていただければ分かると思いますが、合格図面にはミスがいっぱいあります。しかし皆さん致命的なミスを避けることで合格を勝ち取っています。そしてこの試験は毎年4割方が合格していることから、上位40%以内にはいれば合格できる試験です。
100点を目指さすに60点あればいいやという感覚で挑まれる方をお勧めします。

時間管理

合格できる図面の作成を目指すためには自分の作業にかかる時間を徹底管理する必要があります。
理由はチェック時間を設ける必要があるからです。プランニング・要点記述・作図にどのくらい時間がかかるのかを日頃から把握しておくことで、いざ本番の時にエスキスで時間が掛かりすぎた時はどの作業を短縮させるか判断することができます。自身の作図時間が遅い場合にはエスキスをある程度の時間で切り上げる必要があります。そしてチェック時間を十分に確保して致命的なミスを避けることで、不合格になるリスクはぐっと下がります。
 参考までに以下に筆者の時間管理表を載せます。
(手書きなので汚くてスミマセン(;´・ω・))

通学か通信の選択

 筆者も最初は資格学校で勉強してましたが、 筆者の場合は通信の方が合ってました。通学は時間の確保、他受験生と比較されるプレッシャー、担当講師との相性等から筆者には合わなかったなあというのが結論です。しかし「自分でスケジュールの管理をするのが苦手」「一緒に頑張る仲間が欲しい」「いつでもすぐに相談できる講師が欲しい」という点では通学の方が優れています。 通学か通信の選択 する時は自身の性格としっかり相談してから選んでください。

課題対象施設見学会は必ず行くこと

 先の「平成30年度本試験徹底分析」のページを見ていただけでば分かると思いますが、この試験はその年の課題の対象となった施設の特徴が大きく採点内容に影響します。スポーツ施設の場合は更衣室と各スポーツ室への繋がり若しくは上下履き替えスペースの計画が挙げられます。美術館の場合は展示品のトラックヤードから展示室への搬入方法若しくは展示室の在り方等が計画の採点の基準に上がってました。このような情報はネットの情報だけでは補え切れません。実際に課題対象の施設を見学することで得られる情報です。とはいえ施設見学の予約をたくさん取るのは難しいので最低でも1館は見学しましょう。建築士会青年部が毎年主宰する「一級建築士製図試験実例見学会」は毎年当年度の課題対象の施設見学会を行ってますので、8月に入ったら直に電話するか、フェイスブックの投稿をこまめにチェックしましょう。また可能であれば自身の住まい付近に似たような施設があれば積極的に見学に行きましょう。

作図時間の短縮方法

 エスキスから作図までの中で本試験当時に一番確実に時間短縮可能な作業が作図です。
筆者は最初の頃は3時間半も作図時間がかかりましたが、何枚も書いているうちに何とか3時間ぐらいに縮めることができました。しかし筆者はエスキスをまとめる能力が決して高くないので出来れば2時間半に作図時間を縮めたいと色々模索してました。しかしどう頑張っても3時間を切ることはほどんどできませんでした。そこで前年度の合格者からアドバイス頂ける機会を得たのでいろいろ聞いたりしました。そこで「2時間で作図終えた」という合格者に筆者は「どうやって作図時間を短くできたのですか?」と尋ねてみました。するとその方は「もうほとんどフリーハンドだったね。柱と寸法線だけテンプレートと定規で書いてから直ぐに製図版から作図用紙を外して、用紙を自由に動かせるようにして壁から家具まで全部フリーハンドで書いたら時間短縮できたんだよね。」とのことでした。そこで筆者もそれを実践することで作図時間を2時間半まで短縮することができました。
作図時間が長くなる要因として一番大きいのは、手を動かす回数が多いことです。用紙が製図版に固定されていると自身の体と手をあちこちに動かさなければならないので、時間がかかる上に体も疲れてきます。早めに製図版から用紙を外して用紙を自由に動かせるようにすることで、疲労も緩和でき、効率よく作図することができます。
 次に作図内容の順番ですが、欠落すると減点度合いが高い要素から順に記載していきます。

平面図・断面図の補助線 → 平面図の柱 →  平面図・断面図の寸法線 → 製図版から用紙を外す → 平面図・断面図のスラブ・壁をフリーハンドで書く(壁を真っすぐ書くことが苦手な方は壁を書いてから製図版から外す) → 屋外施設の記載 → 要求室の室名・屋外施設の名称の記載 → 2方向避難距離・重複避難距離の記載 → 延焼ライン → 延焼ラインにかかる開口部に防火設備マークの記載 → 防火区画を形成する防火設備マークの記載 → 庇・ルーバー等の記載 →  無駄な敷地スペースを埋める程度の外構植栽の記載 → 計画の補足事項の記載 → 寸法線の数値の記載 → 要求家具・備品等の記載 → 仕上げ・最終チェック

がお勧めの作図順番となります。

本試験前日はコンディションを整える

 試験日前日はできるだけ何もせずに体調を整えて万全のコンディションを整えてください。
下手に練習課題を読んでしまうと、試験当時にその課題内容に囚われてしまいがちになるからです。

試験本番時の心構え

 筆者は不合格だった年は、毎回不安と緊張いっぱいで試験会場に向かってました。しかし最後の令和元年の時は試験日が延長されたのもあって一番落ち着いた状態で試験に挑みました。
 
この試験がどうして猛勉強したにも関わらず連続で不合格となってしまう受験者が多い一番の理由は毎年出てくる試験課題の爆弾条件(今までに出題さえたことがない条件)によって心がゆさぶられることにあります。しかしそれは他の受験生も同じ状態であります。
それに大抵は爆弾条件にはほとんど多くの方がうまく対処できずにプランニングを完成させて作図を提出します。平成30年度の試験の時に出題されたスポーツ施設では試験製作者は西側の桜並木から直にアプローチする計画を促してましたが、結果はおよそ7割の方が北側駐車場からのアプローチに配慮して北側に出入口を計画する回答者が多かったことから、西川から直にアプローチするしないは試験結果に影響ありませんでした。この試験は決まった答えが無いので、憶測ですが試験管は図面を提出図面を回収してから採点基準を決めているように思えます。そして上位4割を合格させるわけですが、学科もそうですが何点以上なら合格とかが決まってなくて、あくまで相対的に、学科ならば上位役12%、製図役40%を合格させるとなっています。つまりオーソドックスプランを目指して空間構成を守ったプランを心がけていれば勝てる試験です。無理に条件を全て守ろうとしてアクロバット的なプランニングを採用するのは逆効果です。あくまで100点を目指すのではなく、60点を目指してください。

エスキス中の考える時間

 筆者は合格年のエスキス作成時に初めて途中で3分間だけ全く手を動かさずに考えるだけの時間がありました。この間に2案の内どちらを採用するか悩むだけに専念しました。これは筆者の場合ですが、プランニングをがむしゃらに進めるのではなくプランニングに入る前に一度ペンを置いて一息つくことで冷静な判断ができると思います。ほんの30秒でもいいのでペンを置いて一息ついてからプランニングに入ることをお勧めします。

おすすめマンガ

以下の漫画は筆者が前年度の合格者の方から頂いた一級建築士マンガ「一級建築士になりたい」です。こちらのマンガの著者:ヒズメさんは2015年に一級建築士に合格され、一級建築士試験に合格するまでの過程をマンガにしてくださっています。とても分かりやすく解説されていますのでご購読をおすすめします。以下の画像リンクからマンガを読むことができます。



以上で筆者からこれから受験される皆様へのアドバイスを終わります。

最後に今回の一級建築士製図試験分析に協力して頂いたユーザープランニングの参加者様一同・掲載資料等でご協力頂きましたウラ指導スタッフ様・その他ご協力して頂きました合格者の方・受験生の方々に心より御礼申し上げます。そしてこの記事が受験生の皆様が合格されることにお役に立てれば幸いです。



皆様の合格を心よりお祈りします


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